「2002年夏場所千秋楽国技館レポ」アップしました。
こういうのは一気呵成にやってしまうに限る。
…って、もうすぐ名古屋場所も始まるのにこの期に及んで何言ってんだか。

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あたしは、別に相撲協会のマワシモンでもなんでもないんだが。
相撲人気の凋落が叫ばれて久しい。
そんな中、救世主となりうる関取が、いま、相撲雑誌を席巻している。

その名は「高見盛精彦(たかみさかりせいけん)」。

夏場所の中継、幕内の部分を一度でも見たことがある方なら、ピンと来るだろう。

仕切りの制限時間がいっぱいになると、自分の胸や頬をこぶしや平手でガシガシと殴り、肩を激しく上下させる。
最後の塩撒きのあと、館内いっぱいに響くような柏手を打ち、その手を大きく広げたかと思うと、ばちん!!と、締め込みを叩く。

その一連の動作が人々の目を釘付けにして離さない。
夏場所での人気は、間違いなくナンバーワンだった。
あの人気者大関、栃東関ですら、彼の人気にはかなわなかった。
「栃東-高見盛」の取組では、圧倒的に高見盛関への声援や拍手が大きかったからだ。
高見盛関は負けたにもかかわらず、だ(もっとも大善戦ではあった)。

いっとき、10年近く前になるだろうか、朝乃若関というお関取が、仕切りのときにちょっとしたパフォーマンスをやって、お偉いさんからキツく叱られた。以後、朝乃若関はパフォーマンスは封印してしまったのだが、その後どうも成績がぱっとしないのも事実。

高見盛関のは、そうした計算づくのパフォーマンスではない。
あくまで、自分の闘争心をかきたてるための、まったく計算なしの行為。
どこまでも愚直で、一途な気持ちの表れなのだ。
だからこそ、そのしぐさに惹きつけられる人が多いのだろう。

朝乃若関のときと同様、様式を重んじる協会幹部からは、「あの仕草はけしからん」という意見が出るおそれもあった。
その危惧に先手を打ったのは、横綱審議委員会の一員、内舘牧子女史。
「もし、高見盛関の動作などがいかんという意見が出たら、却下してください。ウケ狙いでできる動作ではなく、すべて、気合いを入れるためのものだから」
といった主旨のことを北の湖理事長に直訴したというのだ。
その話をきいたとき、溜飲が下がる思いがした。
彼のあの一連の動作がウケ狙いかそうでないかは、表情を見ればすぐに分かる。
あまりにも鬼気迫る表情だからだ。
狙ってできる「パフォーマンス」などではけっしてない。

加えて、そういったぱっと見だけの力士ではないことは、取り口が証明している。
専門的なことになってしまうが、右を差して、かいなを返してしまえば、相手が上位でも、そうそう簡単には負けない。それどころか、それが徹底できれば相手が誰だろうと負けないようなオーラを漂わせている。そのふたつの、ちょっと矛盾するような要素が、彼の最大の魅力。

あたしのいちばんのご贔屓力士は、高見盛関ではない。
でも、今年の初場所あたりから、高見盛関のことはかなり気になっていた。
ご贔屓でもある霜鳥関の、学生時代からのライバルという理由だけではなく。
新入幕2場所目に右ひざ前十字靭帯を切り、休場したために幕下まで陥落しながら、去年十両まで戻り、今年初場所では十両優勝(霜鳥関と決定戦を戦った)し1年半ぶりの返り入幕を果たした。
そんな経歴も、彼への興味を増幅させた。
そして、あの仕切りのときの動作がどうして出てくるのか、なんとなくわかったような気がしたものだった。
彼はつねに、土俵上では「命懸け」なのだ。
彼にとってそれは、大げさでもなんでもなく。

どこまでも一途でひたむきな彼が、多くの人から好意的に見守られている、そのことがうれしくもある。
もちろんここまで人気が出るとアンチも出てくるのはしかたがないのだが…。
でも、今のところ彼の人気はアンチの存在も凌駕してしまうような勢いだ。

「がんばる」ことがカッコ悪いとか、そういわれてしまうような今のご時世だけど、「がんばる」とか「一生懸命」を絵に描いたような高見盛関が歓迎されている世の中、いいもんだと思う。
彼を見てると、ホントはみんな、「がんばる」ことがカッコ悪いだなんて思ってないんじゃないかって。そんな気もしてくるから。
彼のパワーはすごい。

これを読んでくださった方々がなんかの拍子に名古屋場所の中継を見ることがあったなら、東前頭2枚目・高見盛精彦関のことを、ちょっと注目していただきたい。
きっと、その日からカトちゃん(高見盛関の愛称)のことが忘れられなくなると思いますよん(^-^)。

あ、でも、彼のしぐさがもし夢に出てきても、責任は負えませんので(笑)。←脅すなや

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長々と、熱く語ってしまった。失礼。

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